Vinyl Review - 5

Lonnie Hewitt / Keepin' It Together (Wee) '77

これはソウルコレクターにはもうお馴染みのレコードかもしれません。フリーソウルファン即死確実の高揚感溢れるB-2「Newsroom」がなんと言ってもピカイチです。バックにはPaul JacksonやPete Escovedo、それに元Graham Central StationのドラマーGaylord Birchなんかが参加しています。

Bill Of Fair / Hot Stuff (Pelican) '77

タイトル「Hot Stuff」はRolling Stonesのあの曲。と言ってもこのグループはロックではなくジャズファンク。オープニングはチョッパーベースとドラムだけでかなりファンキーに始まるがエレピがメロディーを奏でるとこれが「ロッキーのテーマ」だとわかってちょっとコケる。しかし全曲高クオリティーのインストジャズファンクが詰まっており、特にスネアがビシビシ決まるタイトなドラミングの気持ちよさは格別!

Wardell Howard / Where Were You (Quad Associates Music) '76

毛穴まで見えそうなドアップのサル顔オッサンジャケを見て、それでも買おうという人は相当ビョーキでしょう。さぞかしド田舎のレーベルかと思いきやなんとハリウッドで吹き込まれたソウルシンガーのアルバム。Lou Rawlsを10倍仰々しくしたような歌声は聴いててかなりツライものがありますが、A-4「Down On My Luck」だけはかなりカッコイイファンキーレアグルーヴ!

Peter Appleyard / Presents (Salisbury Laboratories) '77

これもこのジャケじゃ普通買いませんよね。しかし陽気なオジサンのフニャけ顔にだまされてはいけません。針を落としたとたんブラックムーヴィーのサントラに入っていそうなスリリングな展開のジャズファンクで始まり度肝を抜かれます。同系統のA-3/B-4、ボサノヴァタッチのA-2/A-4、ヴァイブが気持ちいいソウルジャズのB-3、そしてフュージョンアレンジのB-1「Mambo No.5」と駄曲なしの充実アルバム。でもあまり高い値段で買わないようにしましょう!

Pierre / You Lied (Aidqueen) '83

「Soul Deep Collection」で紹介のSeaquenceもこのレーベルでしたが、ジャケにマネキンみたいなのが出てくるところが同じですね。個人的には83年以降のファンク/ソウル系のレコードは打ちこみやシンセの音が気になって馴染めるものがほとんどないんですが、これは83年とは思えない音に丸みのある録音になっていて問題ありません。アップ、ミディアム、スローといずれも平均点以上のファンク/ソウルトラック満載です。

Skywalk / Live In Detroit (Radio Canada International) '81

全員カナダ出身の6人編成フュージョンバンド。確か1曲くらいいい曲があったはずと思って聴きなおしましたが途中で寝てしまいました。B-2の途中ではいるエレピブレイクで一瞬ハッとさせられますが、それ以外は退屈なフュージョン。

Lou Scott / Do Nothing Till You Hear From Me! (BFN)

いかにもドローカルなジャケでソウルシンガーのアルバムだと思って買ったんですがジャズ/ブルースものでした。録音はあまりよくないものの「On A Clear Day」や「Brother Where Are You」のカバーはなかなかシブいトラックになっています。

Ted Picou Quartet / Experience (Picou)

カリフォルニア、サンディエゴ発、Sax(+Flute)、Piano、Bass、Drumsのカルテットによるジャズアルバム。ちょっとユルめのソウルジャズ「Sleep Walker」が個人的にはベストトラックだが、6弦ベースが踊るB-4「Bass Blues For Wes」もなかなか。

Namaz / Come Inside (Scratch) '84

NamazといえばドイツのSoftwareから出された「300 M.P.H.」がブラジリアンフュージョンアルバムとしてよく知られているが、その3年後に吹き込まれたこのアルバムは男性シンガーを擁したファンク系の音に様変わりしている。しかしこのアルバムのウリは数曲収録されたAOR系トラックで、特にA-1「Rosie」は必殺のミディアムメロウグルーヴ!B-2, B-4も同様のナイストラック。

Dream Express / Track One (EMI) '76

「ハーアー」なんてタメ息コーラスが入ってThree Degreesを思わせたりしてちょっとフィリーソウルチックな女3人・男1人のヴォーカルグループ。ヤボったいポップスナンバーが入ってたりしますが、B-2「This Place Is Too Hot」は哀愁漂うメロディーとちょっと風変わりなアレンジが魅力のフリーソウルナンバー。