Vinyl Review - 9

Joanne Grauer / Same (Avar)

このレコードは某ジャズディスクガイドでも紹介されていますが、そこでのコメントにもある通りA-2「Inside Outside」がGrauerのエレピがグイグイ引っ張る痛快ジャズファンクで最高。B-1「Frog Child」も同様に厚みのあるグルーヴに打ちのめされますが、残りの曲は本人のヘタな歌も含めちょっとツライものがあります。

San Francisco Express / Getting It Together (Reynolds)

前回紹介したQuinn Harrisと同じサンフランシスコのマイナーレーベルReynoldsから今度は9人編成のジャズグループ。イントロのドラムブレイクから期待させるちょっとサイケなジャズファンク「Getting To The Moon」、疾走するレアグルーヴチューン「Hozrot」、インストながらスライを思わせるようなファンクトラック「Waterman」と3曲続くB面が強力!

Michael Gregory Jackson / Heart & Center (Arista Novus) '80

これはたまたまネットで試聴して買ったもの。A-1「Lovin' You」がモロStevieしちゃってるんで一発で気に入ってしまいました。Stevie+スピリチュアルジャズといった感じのA-3なんか副題が「for Stevie Wonder」なんで本人も当然意識しているのでしょう。元々ジャズ畑のギタリストなのでギターメインのフュージョンっぽいインストも半数近く含まれています。

Gary Wilson Trio / Another Galaxy (G.W.T.)

ニューヨークで吹き込まれたベーシストGary Wilsonのフリージャズアルバム。フリージャズは苦手なので全曲通して聴くのはちょっとツライものがありますが、唯一タイトル曲「Another Galaxy」はワウ・ギターと唸るアコベがカッコいいスピリチュアルジャズファンクなのでやはり押さえておきたいところです。

Le Groupe Marc Belanger / Les Cordes En Liberte (Kebec Disc)

久々の自分にとってのニューディスカバリー。カナダのヴァイオリニストのこのアルバムはジャケを見ただけでは試聴する気にもならないところですが、内容はグルーヴィーなソウルフルフュージョン満載で◎。フェイザーのかかったギターカッティングにベース、エレピが絡んでくる秀逸ブギーA-1、テンポを落としてグッと迫るA-3、Eddie RussみたいなジャズファンクA-7にメロウなB-4とナイストラックをあげていったらきりがない傑作アルバム。

The First Love Affair / Same (HCRC) '81

打って変わってこちらはソウルファンなら思わずジャケ買いしてしまいそうなヒューストン産ソウルグループのアルバム。アップやファンク系の曲はイマイチですが、ジャケの雰囲気そのままのスイートソウル「Dry Your Eyes」なんか期待通り。B-3, B-4のスローもなかなか。

Spiders & The Web / Ain't No Lookers Here (Spy-Web) '79

あのHilton Feltonプロデュースということだけで何のためらいもなく買ってしまった一枚。Paul Slade(Guitar/Vocal)Spider Joe(Vocal/Harmonica)からなる白人ユニットで、もちろんFeltonもキーボードで参加しています。当然ジャズファンク系の音を期待していたんですが残念ながら退屈なフォーク系ロックでした。但し唯一Ray Charlesのカバー「Mary Ann」がストレンジなアレンジのフュージョンソウルでけっこうイケます。

David ii / Love ii (Khalia)

この人って名の通った人なんでしょうか?バックにFred WesleyとPhil Ranelinのトロンボーン両巨頭が参加しているサックスプレイヤーのフュージョンファンクアルバム。特にFred Wesleyは曲作りを含め2曲に参加しておりA-3では相変わらずファンキーなソロを決めています。個人的にはテレビの刑事ドラマにでも挿入されそうな哀愁漂うジャズファンクのA-1がイチオシです。

Don Rader Quintet / Polluted Tears (DRM) '73

古くはWoody HermanやCount BasieのバックでトランペットをプレイしていたというDon Raderですが、個人的にはこれが初めて聴く彼のアルバムです。DRMというレーベルがマイナーなのかどうかも知りませんが、しっかりA-3「Freddie」のような王道ソウルジャズを収録しています。

Tony Newton / Mysticism & Romance (NCI) '78

この人ってMotownのベーシストと同一人物?それはともかく本作はBootsyあたりの影響が色濃く1曲目からミュートロンを使ったスペースベース暴れまくりのP(ジャズ)ファンク。このアルバムの後なんとThin Lizzyを脱退したGary MooreとG-Forceなるグループを結成。アルバムも1枚出ているらしい。確かにそんなロックな素養もB-1あたり感じさせるなあ。