Black Vinyl Review - 107

Christ Gabriel Jazz Missionary Group / S.T. (Musicmaster/-/US)

超オブスキュアかつプライヴェートな一枚。1967年にボストンで結成されたジャズ・ユニットらしい。リーダーはコンポーザー、アレンジャー、ドラマーのフレディ・ゲイブリエルという人でジャケットを見る限り黒人のよう。マイク1本で録音されたらしく音もバランスも悪い。しかし楽曲自体のクオリティは高く、例えば「Christ Child」などは録音さえ良ければブルーノートやプレステのソウル・ジャズにも勝るとも劣らない。

Governor's State University Jazz Band / GSU Jazz Live! (No Label/-/US)

何度も言うけど、やはり黒人のソレは太い、太すぎる。しかも学生の分際で一体どうなってるんだ!特に「Freedom Jazz Dance」での太さは格別で、数あるカヴァーの中でもインパクトは最大だろう。ボロボロになるまで聴くしかない。

Jazz Unlimited / No Title (No Label/-/US)

レーベルは真っ白で曲名の記載はなく、プレーン・ジャケットにはペンで“Jazz Unlimited”と無造作に書かれているだけで他に何の情報もない正体不明のジャズ・ユニット。強烈にドライヴするハード・ヒッティング・サウンドで最初から最後まで押しまくる。深みはないがなかなか痛快な一枚。

Lolita R. Smith / S.T. (Varbee/-/US)

こちらもプレーン・ジャケの女性シンガーによるマイナー・プレス。「Your Love And My Money」はドラム・ブレイクで始まるファンキー・ソウルで、バック・トラックはカーティス・デイヴィスという人のヴァージョンとまったく同じ。たぶんこっちがパクったんだろうなぁ。

V.A. / Stateville...Jammin' In The Joint (Delta/-/US)

囚人バンド皿は数あれどコイツは激レア。録音は80年代半ば頃らしいが、予算の関係かこの時代にしてはエレクトリックな装飾が省かれていて好感が持てる。ファンキーな「Main Attraction」やソウル・ジャズ的なインスト「Jungle」など音数が少なく、このスカスカ具合がなんとも心地良い。

Ray Camacho Band / Reach Out (California Artists/-/US)

けっこうな枚数のレコードを出しているテックス・メックス系グループ。ま、ほとんどがカスだけど(笑)。とはいえ極太のラテン・ファンク「Si Si Puede」を含む『Salsa Chicana』は例外。そしてもう一枚の人気作がコレ。但し、AORとして。その手が好きな人にはイケるはず。それにしてもこの人たち、サウンドの変化が激し過ぎでしょ。

World / From The Core (Denika/82/US)

ジョージア州オーガスタ産、女性シンガーを含む4人組ソウル・グループ。82年ということで言うまでもなくファンク系は惨憺たる有様。しかし、半分以上を占めるスロー系はそれほど悪くない。スウィートなクロスオーヴァー・チューン「Brothers & Sisters」がなかなか。

The Ethics / Sing (Love/-/US)

シングルを寄せ集めて作られたブートLP。盤起こしらしくノイズが入るけど「Think About Tomorrow」、「Look At Me Now」、「I Want My Baby Back」等々、初期フィリー・ソウルの美味しいところがたっぷりと詰まっているので、シングルを買わない自分にはとてもありがたいアルバム。

V.A. / 13th Annual Battle Of The Bands (Custom Fidelity/72/US)

ここではもうお馴染みのハリウッドのバンド・バトル・シリーズ。1972年に行われた13回目のこのアルバムは黒人比率が比較的高い。ここでもドーシー・ハイ・スクールが学生バンド部門で1位になっているが、聴きどころはジェリー・ドジャー・セクステットの「Goin' Down South」。他の出演者とは一線を画すネットリとしたグルーヴがたまらない。

V.A. / Trojans - A Toast To The Boogie (Century/80/US)

コレクター心をくすぐる数々の“黒い”珍盤・奇盤を輩出しているダグラス高校。それなりに収集してきたつもりだったがまだこんな“黒々”としたジャケのブツがあったとは。内容は当時流行ったようなブラコン系のカヴァーが多く、期待していた“極太”ファンクはほとんど聴けず、下手な演奏・歌を勢いでカヴァーしていた昔に比べてパワー・ダウンを感じざるを得ない。相当に珍しいレコードではあるが、センチュリー・レーベルまたはダグラス高校をコンプしようという人以外は買わなくていいかも。ってそんな人いないか(笑)。

* These are NOT all recommended LPs!!!

2014.07.15