Vinyl Review - 43

'Thesda / Spaced Out (Crawford And Hagburg) '79

下手な演奏、ハズれてる音程、チープな録音、一体このレコードのどこがいいのか?いや、しかし、これがタマラナイんです。鼻が曲がるほどクサイ靴下をなぜか何度も嗅いでしまう、そんな感覚にも似た妖しい魅力に満ちたレコード。内容にはあえて触れませんが、たぶん10人中9人はサイテーと思うことでしょう。相当イッちゃってる末期的ジャンキーにのみ捧げます。

The United Family / Some A Dis Some A Dat (Longwood) '75

内容的には当たりハズレの激しい(失礼!)「究極の〜」シリーズ。でもこれにリン・コリンズ「Mama Feelgood」のカバーが入ってるなんて今日まで知らなかった。しかもより一層レアなグルーヴで迫りくるファンク魂爆発の一曲。そしてタイトル曲「Some A Dis Some A Dat」も負けず劣らずのファンクナンバー。なんだこれってソウルじゃなくてファンクの名盤じゃん。

The Loving Sisters / The Sisters And Their Sons (Peacock) '74

ゴスペルに興味は全然なし。なのにこのどこをどう見てもゴスペルアルバムにしか見えないレコを買ったのは「Cosmic Consciousness」というカッコいいファンクが入っているから。スペーシーに飛び回るオルガンがとにかく最高!

Johnny Canales Y Su Orq. / El Camaroncito (El Zapare)

ここからテキサス系4連発。このへんの人たちにアルバムとしての完成度を求めるのは所詮無理な話。1曲あればそれでよしとするしかない。本作ではキング・フロイドでお馴染みの「Baby Let Me Kiss You」を素晴らしいテキサスファンクに仕上げている。もちろん他の曲は全部死んでるので45のつもりで聴きましょう。

El Internacional Ray Camacho The Super Band / Mucha Salsa (Luna)

これはカリフォルニアのレーベルだがこの人もテキサス系と言っていいんじゃないかな(っていいかげん)。1曲だけあるファンクはブラス・コンストラクションの「Movin'」(ここでは「Movin' On」になっている)のカバー。荒削りな演奏は原曲よりオレ好み。若干ラテン寄りではあるが残りの曲に聴く価値がないことは言うまでもない。

Sunny & The Sunliners / El Orgullo De Texas (Key-Loc)

全盛期にはゴリゴリのテキサスファンクをブチかましてくれたこの人も徐々に萎んでいく。ファンクは1曲もなく、メロウなインスト「Sunliner Serenade」がなんとか聴ける程度。

Beto & The Fairlanes / Beto Vivo (Fable) '80

Starcrost47 Times Its Own Weightを輩出しているFableだがこれはやめといたほうがいい。チカーノフュージョンとでも言えばいいのか、とにかくつまんないッス。

David Wingo / Coming Home (Wintersong) '82

マイナーレーベルからひっそりとリリースされたSSWの好盤。AOR的な「Hearts Touch」、フルートをフィーチャーした「First Day Of Fall」、弾き語りの「The Light」と佳曲が並ぶ。中でもハワイアン・コンテポラリーみたいな雰囲気の美メロ「Coming Home」がイチオシ。

Airborne / Songs For A City (Ocean) '77

裏ジャケのロックしてる風貌からは想像がつかないようなアコースティックな音に優しい歌声を持つカナダの5人組。「Marie」「Someone Like You」「Never The Same Love」と涙々の名曲揃い。

Pat Longo & His Super Big Band / Chain Reaction (TownHall) '79

ただのビッグバンドジャズって言えばそれまでだけど、ドラムがポール・ハンフリーなんでリズムが締まること締まること。サスガです。ファンキーな「Brecker Brac」とケニー・ロギンスのカバー「I Believe In Love」がまあまあです。

2007.01.05