Vinyl Review - 75

J. I. Henderson / Give A Helping Hand (Piggylo) '75

遥か昔にイギリスの通販リストで見て以来、必死に探したがまったく出会うことのなかったジョー・アイザック・ヘンダーソンのLPをついにゲット。ワクワクしながら針を落とすと、ん?何かカントリー臭くないか? あっ、本人の名前の下に“Soul Country Man”の文字が! ヤバイかも? しかし、2曲目「Give A Helping Hand」でやってくれました。見事なまでのファンク・トラックで一安心。ただ、その後は間の抜けたような声で歌うどうってことのないソウル・ナンバーが続き再び元気がなくなる。う〜ん、微妙。

East High Jazz Band / Movin' On (Coronet)

やっぱり黒人は太くてデカイ! いや、もちろん音の話です(笑)。中でも彼らはそこらの学生バンドが束になっても太刀打ちできない超ファットなサウンドを繰り出している。のっけからナイトライターズの「K Jee」でガツンとやられたかと思えば、オハイオ・プレイヤーズの名曲「Pain」ではフルートもフィーチャーされ、重心の低いヘヴィなジャズ・ファンクに失禁寸前。ちなみに町の商店街総出でこのレコード制作のために寄付でもしたらしく、裏ジャケには不動産屋やら花屋やら床屋やらの広告が載っていて微笑ましい。

Clockwork / S.T. (Sound Triangle) '75

またもフロリダのSound Triangleレーベルからの一枚。女性シンガーをフィーチャーした5人組で、黒人メンバーはいないがケイジーズ「Keep On Bumping」やミーターズ「Hey Pocky Way」のカヴァーをやっている。

Frank Hatchett / Galaxy (Statler)

「RARE GROOVE A to Z」にも掲載されたフランク・ハチェット監修によるアルバム。全体的にディスコ色が強いため好き嫌いが分かれるかもしれない。「Galaxy Medley」と題されたトラックの前半部分はローズ・ロイス「Wishing On A Star」のカヴァーになっており、ジャジーかつダンサブルなアレンジで徐々に高揚していくような展開が好み。

Retta Young / Young And Restless (All Platinum) '76

夫でもあるモーメンツのアル・グッドマンやハリー・レイ等のプロデュースによるレッタ・ヤング唯一のアルバム。オール・プラチナム系の中では比較的見ないLPかもしれない。一聴すると地味な印象を受けるが、そもそもサラっとしたライトなソウル・フィーリングが彼女の持ち味なのだろう。セクシーに迫るメロウ・ミディアム「Really Really」やスローの「Now Or Never」なんかは聴けば聴くほど心に染み入るナイス・トラック。

Prince Billy Mahdi Wright / You Got Dat Wright (Raenii) '80

最近人気上昇中(?)のアルバムみたいだけど、個人的にはやっぱり80年代はダメ(ファンク系とジャズ系に限る)。とにかくクリアな録音が受けつけないんだよねぇ。いい曲はいくつかあるんだけどなぁ...

Hal Gordon / Inner Strength (Pelican) '77

“Baby Grand”の傘下レーベルと思われる“Pelican”からリリースされたパーカッショニスト、ハル・ゴードンのアルバム。フルートをフィーチャーした「Calcutta」以外は面白みのないジャズ・ナンバーばかり。

Falconaires / Something From The Falconaires (USAFA)

ご存知アメリカ空軍ダンス・バンド。以前紹介したアルバムがけっこう良かったのでもう一枚買ってみたがこっちはつまらない。ジェイムズ・ブラウンのカヴァー「Cold Sweat」はグルーヴに粘りがなくお粗末。ただ、ヴォーリストのJBの物真似レベルはかなりのもの?

Warmth / Up Jumped Kolbe (Double-Dunk)

ピアノ/ヴァイブ奏者のDon McCaslin率いるジャズ・ユニット。70年代から活動をしており、いずれもマイナー・レーベルではあるが少なくと5枚のアルバムがリリースされている。本作は“Volume.5”と表記されているのでおそらく5枚目なのだろう。初期のアルバムではラテン・テイストが強かったが、ここではより幅広い音楽性を披露しており、モッタリとしたファンク・ビートに野太いヴォーカルが似合う「Lazy Afternoon」等全9曲を収録。

Van Delinder & Swenson / Lives Like Yours And Mine (Mirage Music) '81

コツコツと集めているマイナーSSWもの。このあたりを買うときはあまり冒険はせず、詳しい方のアドバイスを受けることがよくある。これもそんな一枚でどちらかというと地味な内容だが、なぜか何度もターンテーブルに乗せてしまう。ジャケの雰囲気もお気に入り。

* These are NOT all recommended LPs!!!

2009.09.13