Vinyl Review - 76

Jackson State College / On Tour In Europe (No Label) '71

ミシシッピの黒人学生バンド。編成的には通常のジャズ系ビッグ・バンドよりも小規模で、女性シンガーもフィーチャーしけっこうヤバいファンクを演っている。アイズレー・ブラザースの「It's Your Thing」に、アレサ・フランクリンの「Think」や「Respect」のカヴァー等、限りなくローカルなファンク・サウンドがタマラナイ。「Gaza Strip」、「Red Phantom Rides Again」といったジャズ・ファンクも最高だ。ちなみに本作はヨーロッパでのライヴ盤のような印象を受けるが、ほとんどの曲は地元でのスタジオ録音だと思われる。

Cerritos Jazz-Rock Ensemble / S.T. (Custom Fidelity) '70

カリフォルニアのカスタム・レーベル“Custom Fidelity”からリリースされたカレッジもの。見るからにワルそうな不良学生たち(ホントに学生?)がワイルドな演奏を繰り広げる。中でもコンピ『School Me!』に収録されたビートルズのカヴァー「Come Together」は、途中フルートがドープにキメるヘヴィー・ファンク。お馴染み「Evil Ways」でもフルート・ソロをきっかけとしてリズム・チェンジし、熱く盛り上がっていく。

Ambassador College Band & New World Singers / Look The World In The Eye (No Label) '75

これも『School Me!』関連。男臭い前掲の学生たちとは反対に、こちらはコーラス・グループを従え、ソフト・ロック的な曲やミュージカルっぽいものを中心に構成されたアルバムで、個人的には勘弁してもらいたい内容だ。「The Bucket」のみジャズ・ファンクなんだけどコンピに入れるほどじゃないような...

College Of The Redwoods Stage Band 1975 / The Family Of Man (GSR) '75

『School Me!』シリーズ3枚目。ベスト・トラックとなればやはりコンピに収録された長尺のタイトル曲か。詳しくはコチラのレビューを参照ください。

Cesar / Cesar 830 (Flying Dutchman) '75

ラテン・ピアノ・プレイヤーCesar Ascarruntzの本作は、ラテンをベースにソウル、ロック、ジャズのスパイスがほどよくブレンドされた極上のサウンド。「Descarga」が人気らしいけどレア・グルーヴ的には断然「See Saw Affair」でしょう。女性ヴォーカルも入っていて、リカルド・マレーロやアグアベージャが好きな人ならイチコロのグルーヴィー・チューンだ(と思ったらアグアベージャ本人が参加してました)。よりラテン・ロック的な「Gotta Get Away」も文句なし。ちなみに原盤も高くないので是非お試しを!

Mexican Revolution / S.T. (El Zarape)

このレーベルにこのグループ名、もちろん内容はテックス・メックス。好きな人には申し訳ないけどこの手の音楽は一生好きにはなれそうにないなぁ。ただし、そんなレコードでも極々稀にファンキーなスタッフが入っていることがある。で、本作に収録された「Soul Searching」はイナタいギターがリードするインスト・ファンク。ま、でも、これもイマイチだな...

Troubadours / The Many Moods Of The Famous Calypso Troubadours (Straker's)

久し振りのカリビアンもの。「Shaft」のカヴァーはユルッユルだけど「No Name Bar」はカッコいいインスト・ファンク。それにしてもこのエリアもそろそろネタ切れか?

Edwin Starr / For Sale (Avatar) '83

反戦歌「黒い戦争」のヒットで知られるソウル・シンガー、エドウィン・スターが83年にヨーロッパでのみリリースしたアルバム。テクノロジーの進化とともにブラック・ミュージックが衰退し始めた(と個人的には思っている)時期なので聴くに耐えない曲が少なくないが、「Sweetest Thing」は弾むようなリズムのソウル・ナンバーでピカイチ。切なさ漂うビター・テイスト・ミディアム「Shy」もイケる。この時代のソウルにしては珍しい重厚なストリングスも効果的だ。

Max Carre / Boogaloo's (Tam Tam)

怪しいモノクロ・ジャケを発見したら手を出さないわけにはいかない。しかも“Boogaloos”なんて文字が書いてあるんで俄然期待は高まる。そして、見事にその期待を裏切ってくれました(涙)。フレンチ・カナディアンと思しきMax Carreという人物によるラテン・アルバムだが、まったく趣味に合わない“チンドン屋ラテン”。

Anne Nachtrieb / 3000 Feet Above (Wink) '79

カナダの女性シンガー・ソングライター。メロウでフォーキーでちょっとジャジーなAORやSSWモノに興味がある人ならコレはストライクかも。清涼感120%の「We Never Had The Love」を筆頭に「Martha」、「One More Time」、「Too Late To Change」等、自分好みの曲がいっぱい!

* These are NOT all recommended LPs!!!

2009.10.18