Vinyl Review - 77

Msingi Workshop / S.T. (Band 'n Vocal) '72

『A to Z』にも掲載されたアラン・ロック高校のユニットによる72年の作品。本作も同様に『Mystic Beauty』で有名なレジー・アンドリュースが仕切っているようだが、注目すべきは若き日のパトリース・ラッシェンが参加していること。特に彼女が書いた「You Got It」はハイライトともいえるトラックで、熱くうねりまくるホーンやリズム・セクションとは対照的にどこか涼しげなエレピが印象に残る。ホーンの咆哮とともに腹をえぐるようにドラムが打ち始め、漆黒のジャズ・ファンクへと展開してゆくレジー作「Black Dilemma」もヘヴィ極まりない。

Porno Disco / S.T. (Party) '78

ブロウフライやルディ・レイ・ムーアもタジタジ(?)のエロ全開変態アルバム。なにしろ収録曲も「Star Whores」、「Super Fu*ker」、「Disco Dick」とお下劣タイトルのオンパレードなのだ。メンバーのクレジットはあるものの「Some names may have been changed to protect the guilty」なんて書いてあるので本名じゃないみたい。そこまでしてこのエロ盤を出したかったのか(笑)。内容はうれしくなるほどチープなトラックばかりで、女性シンガーをフィーチャーしたメロウ・ソウル「I Wanna Do It Again」がベスト、いやチーペスト・トラック。

The Parker Brothers / S.T. (Crown Vetch)

一見したところカントリー・ロック?って感じのジャケに騙されてはイケナイ。AORフリークの間で火がつき最近人気急上昇中の隠れ名盤だ。ソウル・フィーリングが滲むクラッキンみたいな「Roller Dancin'」、「スティーリー・ダンでしょ?」ってくらい似ている「Lady Day」、そして一番のお気に入り「Make Believe」はAメロがペイジズでサビがマイケル・マクドナルドみたいなメロウ・チューン等々、“パクリ”とまでは言わないが他から美味しいところを頂いちゃってることは間違いない。AOR界のバーケイズと言ってしまおう(笑)。

Larry & Marilyn / S.T. (Lar Mar) '78

悲しくなるほど情けないジャケのイメージどおり、針を落とすとやっぱりどうしようもなかった。スペイン語曲が混じるポピュラー・ヴォーカルの世界が繰り広げられる。吐き気をもよおしてくるほどのA面を乗り切り、裏面に入るとやっとまともな曲(「Put The Squeeze On Somebody Else!」)が! 他があまりにもヒドいせいかこの程度の曲でもけっこう良く聴こえてしまうから不思議だ。

Dee Ervin / Sings D. Ervin (Signpost) '72

ヴォーカル・グループ、パステルズでリード・ヴォーカルを務めていたDiFosco "Dee" Ervinのソロ・アルバム。内容はサザン・ソウル系のサウンドで個人的にはちょっと苦手。オープニングの「Willie Pass The Water」なんかは、ドラム・ブレイクからベース、パーカス、エレピが入ってきてかなりいい感じのイントロなんだけどなぁ...

Psalm 150 / Make Up Your Mind (Manna) '74

一部のコアなファンの間では既によく知られたCCMグループのお皿。ハイライトはなんといっても「Get Yourself Together」でしょう。詳しいレヴューはこちらを見てもらったほうがよいかと。

Dana Howard / Dana (Bread 'n Honey) '79

カリフォルニアのCCMレーベルからリリースされた女性シンガーDana Howardのソロ・アルバム。思わずスルーしてしまいそうなソソらないジャケはともかく、内容はAOR/CCMファンならストライクかも。チャイルディッシュな歌声が魅力的な明るいポップ・チューン「He's Gonna Make Your Dreams Come True」、清涼感タップリのAORボッサ「Right Where You Are」、キレのいいホーンが入った弾けるようなイントロから一気にソフト&メロウに落とし込む「Caught In This World」を収録した好盤。

P.K. Stevens / Your Love Is A Very Special Thing To Me (Guinness) '77

ご存知のとおり“Guinness”はTSG、Tiger Lily、Baby Grandと同様に税金対策用に設立されたと言われている。マニアにとっては魅力的なレーベルかもしれないけど、内容的にはレベルが低いものが多いので注意が必要だ。本作も例外ではなく、腐ったバラードを太い声で聴かされると頭痛がしてくる。とにかくこのレーベルを試聴せずに買うのは自殺行為。あ、そういう自分は試聴しないで買ったけど...(苦笑)

Caress / S.T. (PAP) '77

今更取り上げるアルバムじゃないかな? 遥か昔に再発を買い、つまらなかったので即売り飛ばした記憶がある。先日オリジナルが手頃な価格で転がり込んできたので買いなおしてみたら昔の印象よりずっとよかった。スウィート系よりも「Opportunity」や「Lies Lies Lies」のようなアップ系のほうが好み。

United Voices Of Deliverance / Reach Out (United)

クラレンス・エップス率いるペンシルヴェニアのゴスペル・クワイア。もちろん内容もゴスペル・ミュージックではあるが、「I Need Jesus」や「Power Lord」等ファンク・ビートを効かせたトラックが目立つ。

* These are NOT all recommended LPs!!!

2009.11.08